Photo © Masao Nishikawa

豊島区巣鴨にある妙行寺の納骨堂と合祀墓の増築計画
妙行寺には習合宗教と花鳥風月の要素は散りばめてあるが、マスタープランがない。そこで増築する納骨堂や合祀墓が、既にそこにあるものを利用して妙行寺の聖域性をより強化するためのプロ グラムとして働くようにした。 既存の境内にある本堂、供養塔、浄行様も、借景としての善養寺の本堂も、古建築に特徴的な瓦や銅板の反り上がった屋根が掛かる。その間を埋めるように宝形屋根が掛かる納骨堂と合祀墓を計画すること で、屋根の連なりが築山庭園を囲う風景を創るようにした。

合祀墓は築山庭園を囲う屋根の連なりを形成するように寄棟屋根を架ける。相対的に既存の供養塔や増 築する納骨堂が高く見えるように(ミニチュア効果)、容易に内部を窺い知ることが出来ないように軒下先端を約 1.7m程度に低くする。軒先中央部のやや高くなった部分が出入口である。 屋根そのものや、雨落ち黒砂利と白玉石を隔てる敷居が聖俗の結界になっている。内部にはその中央部 に白玉石敷の上に石棺や古墳にも見える自然石石積みの合祀墓が、大屋根にも守られながら恭しく置か れる。大屋根の下は構造や屋根裏が本堂と同じように濃茶色に着色されやや暗いが、それとは対照的に、墳墓の頂部に敷かれた蓋を兼ねた白大理石の石碑やその周りの白玉石敷が、トップライトから射す光を反射して神々しい。

納骨堂は、豊島区経営許可条例により主要構造部である屋根も含めコンクリート造等耐火建築物にしなければならない。そこで納骨堂の二重屋根は違和感が無いように、様式の結果としてではなく、納骨堂が必要とする機能や効果の結果としてデザインされた。初層の屋根は主要構造部にはならない庇にすることで木構造にする。軒裏に見られる垂木や頬杖、羽目板のリズムは木仕上げの外壁と一体になって、アプローチ兼回廊のパースペクティブやリズムをつくり、軒先は周 辺のノイズを遮蔽しつつ、緑の風景を切り取る。一方、上層の屋根は主要構造部なのでコンクリート造にしなければならない。軒裏から内部天井を経て壁まで凹状に連続させることで、ハイサイドライトから自然光が滑らかに滑り落ちる幻想的な風景を内部にもたらすことが出来る。遠景において二層屋根で 既存建物と連携し、近景において初層の屋根は水平的造形によりアプローチ空間としての外部をつくり、最近景において上層の屋根は垂直的造形により礼拝空間としての内部をつくる。求心的で中央に光を絞った前室からは納骨堂を見通すことは出来ないが、入った瞬間に前室とは全く異なるキリスト教教会の身廊のような荘厳な風景に出会うことになる。連続する左右のコンクリート壁柱と床のコンクリートボーダー、そしてその間のコンクリート小叩きアール天井を伝う光がドラマチックなパースペクティブとリズムを生み出す。

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妙行寺 陽の葉や

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Location
東京都豊島区, Japan
Year
2023

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