全景俯瞰
Photo © Shigeo Ogawa
近くを流れる天井川
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道路を拡げる北アプローチ
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公園に開いた東立面
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乳児が歩行訓練藻出来る縁側
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中庭見返し
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公園にも近い子育て広場
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3歳児室。奥まで視線が届く
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キャットウォークのある遊戯室
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ひな壇テラスから屋上へ
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タイヤロープの素朴な遊具
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中庭夜景
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東立石保育園

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Location
Tokyo, Japan
Year
2021

東京葛飾区の密集市街地に建つ保育園。老朽化した区立施設の更新にあたる民営化プロポーザルに事業者とともに応募した。旧園の歴史や周辺環境など過去を引き継ぎ、現代の複雑なニーズ・区や都の審査項目を満たすばかりでなく、未来の子どもたちに愛され、地域に頼られる園を実現させるべく、園児がのびのび遊べ保育士も保護者も安心出来る「家」、施設全体で体を動かし考える力を養う「公園」、命の尊さや食への感謝を知る「学び舎」、および近くを流れる天井川の氾濫などの災害時には地域の拠り所となる「砦」の、4つを兼ねる建築を提案し、選定された。

構造は、水圧を受け流す放射状の壁柱とフラットスラブによるRC造を選択し、高さ10mの中に3層を収めつつ、ほとんどの保育室をGL+3.7mの2階に持ち上げて水害に備えた。
平面は、密集した近隣住戸への防音・プライバシー配慮および管理上の視認性から、外に閉じて中庭を囲む形式のうち、隣接する公園にのみ開いたC型とし、立面は街並のスケールに合わせて外壁を分割。さらに1階北側は狭い前面道路を拡げるようにセットバックし、朝夕の駐輪の混雑や一時停車による渋滞や事故の危険を回避している。

建物全体を行き止まりなく巡らせた動線は、常時は子どもを飽きさせない遊びのため、非常時は垂直な管理動線と合わせて、火災時は下、水害時は上へ逃げられる複数のルートを用意し、避難安全性も担保している。特にらせん状に屋上まで上昇するスロープや広い階段は、階下に年齢差に応じた保育室の天井高や防災備蓄庫を生み出しながら、被災時には、2階のひな壇と併せて、165名の園児と職員、地域住民を含めた200~300人が、全員腰掛けながら救助を待つことが出来る設えとなっている。

大災害に備えつつ、普段は園児が楽しく過ごせ、公園を通して街に開かれ、近隣に配慮し、景観を壊さず、常時はそれらの性能を感じさせないような建築の設計は、変数の膨大な多元連立方程式を解くような作業であったが、そうした中でも納まりや色彩の整理を行い、災害だけでなく様々な社会変化に長い年月にわたって対応できる柔軟さをもつ、保育所ながらも意匠は子どもっぽさに近寄り過ぎない、質と強度の高い空間を目指した。

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