APOLLO / 黒崎敏

建主は橋梁関連企業でマネジャーとして世界を飛び回る40代のコスモポリタン。海外生活も長かったため、思い切って家族と両親が一緒に暮らす二世帯住宅の建築することに。ビジネスとの両立も考慮しつつ新たに購入した土地は都心の一等地。敷地は商店街に面する商業地域で、古い商店や工場が立ち並ぶ新旧が混在するエリア。中層ビルやマンションに囲まれた敷地は十分な採光や換気が期待できず、借景も望めないゆえ、外的要因に影響されることなく、いかに内部に採光し空に対して空間を開放できるかが課題となる。

1階には子供部屋、2階には両親の空間とボディルームなどのコンパクトな個室を配置。大きな吹き抜けやトップライトが特徴的な3階のファミリールームは個室群とは対照的なおおらかな空間とし、コンパクトなライトウェル（光庭）があるのも特徴。4階の寝室はリビングの吹き抜けを介して視覚的に繋がっているため、最上階の屋上庭園へ自然に意識が誘われる仕組み。モノトーンで統一したクールなインテリアと同調すべく、外観は横長のガラスブロックとシャープなサッシュと天窓の組み合わせで構成。快適性や耐震性を重視してRC外断熱としている。ガレージ両サイドの壁面がカットされた特徴のある門構えは端正でありながらも、街並みに遊び心を与えている。