添田建築アトリエ／添田貴之

東京有数の都市公園に面し、東西に接道する敷地に立つ集合住宅である。外壁はコンクリート打ち放しに黒色透明の疎水材をコンクリートの表情が表れるように塗装している。通常はコンクリート打ち放し仕上げには化粧型枠としてパネコートを塗布した合板を用いるところを出来るだけラフな質感に仕上げるため普通型枠を用いた。

これと対比するように、バルコニーに面する外壁のみ左官で全面補修してコンクリート面を平滑に仕上げ、白色のペイントをした。この壁に連続する住戸内の壁と天井も白で仕上げ、黒いラフな塊に白色のトンネルのような穴（＝住戸）が穿たれている。２種類の外壁のコントラストがこの建物のデザイン上の特徴でもある。

この特徴を維持するためには、ラフに仕上げられた黒色の外壁の清掃は不要で、バルコニー廻りの白色の外壁のみを綺麗に保てば良い。バルコニー外壁のメンテナンス時に足場は不要で、入居者の入れ替わり時に状態を確認し、クリーニングを行うか、必要であれば塗装をすれば良い。