空間研究所／篠原聡子

4m近い段差により、2つの園庭をもつ特徴的な敷地に建つ幼稚園。
当該敷地は、南に近接して建物があったため、主要な採光は東西から採り、明るい園舎となるように心がけました。西側の開口部には夏の日差しを考慮して庇とテラスを設けて、グリーンカーテンなどが設置できるようになっている。
また、北側の住宅にも配慮し、北側に通路を設け、既存の銀杏を残して､建物の高さを抑えている。
既存の段差から生まれる2つの庭の接点となる場所に園舎を計画することで､園児の生活にとって､それぞれが高さの違う2つの庭が身近な外部空間となり、教員の皆様にとっても見守りやすい構成となる。

園舎は3層にわたる6つの箱に整理し、それらをだんだんにずらして配置することで､それぞれの空間が独立性と連続性をもち、立体的な繋がりを日々の生活の中で体感できるような園舎とした。
内部構成はできるだけ単なる動線となる廊下をさけて、階段周辺に通路を集中することで､効率的に各室の必要面積を確保した。また移動空間であり平面の中心に位置する階段は大きな吹きぬけともなり、暗くなりがちな中央部分に採光をもたらすとともに､園児にとっては全体のつながりが把握しやすい場所ともなっている。