GSR

群馬県前橋市, Japan
Photo © Akari Kuramoto

曲線を描くリズムのある箱の中は中核市である群馬県前橋市の住宅地にこの住宅がある。
ありふれた街の風景の隙間に、単線で描いたかのうようなシンプルなシルエットが現れる。
道路側の立面はフラットで、すらっとスライスしたような軽い印象を与え、乱雑した通り面の景色を一瞬整えるかのうように存在する。
この道を通る人々への、家のありかたに対するしずかなる主張である。
外壁西面のゆるやかな曲面には、色づいた夕日の光が照る。
時間の経過と共に表情が変わる。
曲線を描いた軒ラインは視線をなぞらせ、その先の景色に目を向けさせられる。
ときおり南側の橋梁の上を列車が通る。

筒状のエントランスを抜けると明るく吹抜けた空間がひろがる。
天窓から降り注ぐ光は来る人をもてなす。
リビングは南側壁一面に窓を設けた。
この大きな窓から光、風、音、そして時間のうつろいを感じ、一枚の揺らぐレースのカーテンが曖昧にやさしくそれらを繋ぐ。
レースのひだによる影の陰影は、風の動きとともに生き物のように動き出し、ゆらゆらと燃えるロウソクの灯りのような癒しを与える。
床は基礎下のスペースを活用し、スラブを仕上げ面とすることで天井高に寄与した。

コンクリートの床は太陽光熱を蓄熱し、温もりを余韻として感じさせる。
2階は屋根裏のような空間を有効活用し、1階と対照的な空間とした。
寝室間を繋ぐ廊下にたまりの間をつくることで、閉鎖的になりがちな廊下に開放性を与え、書斎や趣味の部屋として機能するように、自由性をもたせた。
また、2階の採光を補うため天窓を設けた。
寝室の天窓は東側に設置し朝日の明るい光を取り入れ、1日の始まりを知らせる。

調律されたものは静止的であり、波あるものは動的である。
直線で構成されたヴォリュームにある曲面の外壁や、素材感、サイズ感、開放性。
調律に変化をあたえることで、人々の動きや、風、光に動きがうまれ、動的要素が建築にも生まれる。変化は気づきであり、気づくことは感性である。
そういう動きのある空間は、豊かさを生む。そういう家であってほしい。

Photo © Akari Kuramoto
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arkkitehdit
SAAD - sudo associates, architecture and design
Location
群馬県前橋市, Japan
Year
2020

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