Foto © 中村 絵

小さな風景と大きな風景を接続する斜めスラブ

敷地は、六本木の中心地にありながら、小さな住宅や集合住宅が肩を寄せ合うように立ち並ぶ一角。旗竿敷地の奥に建ち、東側に公園に面する。最大限床面積を確保しながら、住空間に近い快適性をもった12のテナントオフィスが求められた。
公園側は、開けた視界の向こうに大きなビルが立ち並ぶ大きな風景。反対側は敷地ギリギリまで小さな建物が隣接する、東京の下町のような小さな風景。都心に空いたvoid(公園)の開放感を最大限に取り入れ、この2つの風景を接続し、視線、風や光が通り抜ける、全体がテラスのような建築を目指した。

公園と敷地の高低差により、地上レベルは、ほとんど日照や風通しは期待できず、密集するこの環境に埋没してしまう。そこで、大きな風景へと向かうようにスラブを傾け、2つの風景を接続し、各階の空間が断面的広がりを持つように、斜めのスラブを積層させた。そこに開放的な建具を組み合わせ、コンクリート打ち放しの天井面を滑るように光や風が室内に取り込まれ、反対側まで通り抜けていく。また、斜めスラブによる構成は、住宅側の建物高さを抑え、公園側からは室内の奥が見通せないよう視線を遮る。

室内は、逆梁を利用したスキップフロアのワンルームで、水廻りやシャフトを、コンパクトにまとめたシンプルな空間。広がりのある断面形状の遠近効果により、大きな風景を引き寄せ、小さな風景を覗き込むように、異なる都市の営みを室内に取り込む。

新型コロナの影響により加速する、ワークスタイルとライフスタイルがより曖昧に重なりあう新しい都市居住のあり方に応答し、自由なアクティビティがこれからの街の風景を彩ることを期待したい。

Foto © 中村 絵
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ROPPONGI TERRACE

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Sede
東京都港区六本木, Japan
Anno
2020

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