APOLLO / 黒崎敏

東京の住宅街に建つ二世帯住宅。完全分離型であるが、それぞれの世帯家族の特徴を満たしたリズミカルかつ一体感のあるファサードが特徴。

両親と娘が暮らす親世帯は１階にLDKを設け、道路面に杉板打ち放しコンクリート塀を配置することで、プライバシーを確保しながらも、エントランサイドにある前庭と連続するコートハウスとして機能している。また、2、３階のプライベートフロアはそれぞれの大人が自由な生活スタイルが実現できるよう自立した個室を組み合わせている。

一方、子世帯は中庭を設けて手前と奥に空間がセパレートしていることが特徴であり、各個室空間はブリッジによって連結されている。１階は中庭を挟んでバスルームと寝室が向かい合い、プライベート性が高まっている。また2階は天井高のある吹き抜けであることから、高窓や天窓からの自然光が室内に充満し、広がりのある空間を演出している。２階のブリッジは外部になっていることからリビングとダイニングキッチンは、いわば「母屋」と「離れ」のような構成で分離しており、プライバシーを確保しながら生活することが可能。さながら、プライベートヴィラのような雰囲気が漂うアーバンリゾートである。

夜になると間接照明でライトアップされたミニマムな空間には温かい印象が加わり、そこが住宅街であることを忘れさせれてくれる。