GLA中京会館
愛知, 日本
- 建築家
- 岸和郎 + ケイ・アソシエイツ
- 年
- 2016
名古屋市中区に建つ集会施設である。主要地下鉄路線2本が交差する駅の上、北側の主要幹線道路と南側の生活道路の二面道路に面する約1500㎡の敷地に建つ。一つの建物でありながら、北側の主要幹線道路からは600席超のキャパシティのホールを持つ集会施設としての顔、逆の南側道路からは地上階のカフェと将来的にはその上の階にテナントが入る可能性があるビルとしての顔、という二つの顔を持つことが求められ、積極的に北と南の表情を変えることにした。
北側ファサードについては開口部の少ない建物であるため、壁面にどんな表情を与えるのか、これが大きな課題だった。まず素材感を持たせようと白色コンクリートを研ぎ出したPCパネルの外壁とした。建物にスケール感とリズムを与えるため、垂直のリブを設けることでパネルの剛性を上げ、同時に太陽の動きとともに変化する陰影と素材感のある表情を演出した。
北側からの来訪者にとって、2階に入り口のあるホールへの導線と、その2階からエレベーターで至る最上階にある聖堂へのアプローチがこの建築との最も重要な出会いとなる。したがって、エントランスから2階アトリウムまでの導線を可能なかぎり長くしたいと考えた。それも物理的にではなく、精神的に変化と距離のある導線とすること。
まず中空に浮く2枚の半透明ガラスのスクリーンの隙間を縫うように内部へと入る。エントランスホールは自然光を抑えた少し陰のある空間としてデザインし、そこに2階の主階へと繫がる大階段が降りてくる。それを昇りながら見上げると、2階アトリウム上部に設けたスカイライトから降り注ぐ自然光と出会うことになる。
天井高が約25mあり、スカイライト越しの空だけが見える2階のアトリウムは、天井高も低く抑えた1階のエントランスホールとは対照的に、自然光の溢れる明るい空間であり、刻々と変わる太陽の位置によって光は日時計のように動く。
最上階の聖堂は白く抽象的な空間でありながらも自然に近い空間でもありたい、自然光による聖堂の空間を実現したい、と考えた。最上階に聖堂を持ってきた理由の一つはそのためであり、屋根の構造を鋼板のリブを構造とする軽快な形式としたい、と考えた。天井面に平行に走る厚さ19mmの鋼板のリブは衣装的な付加物ではなく、屋根を支える構造体そのものであり、さらに左右の壁面上部にはスカイライトを設け、白く抽象的な壁面を実現すると同時に素材感をも求めるために採用した再生ガラス、その壁面の裏側にスカイライトからの自然光を導入した。人工光ではなく自然光による白く明るい壁面を実現するとともに、時間の経過でその光の変化を感じることもできる抽象的な空間を実現したい、と考えた結果である。
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