尾道の家
日本
- 建築家
- 小松隼人建築設計事務所
- 場所
- 日本
- 年
- 2021
【扇型の奥行き】
広島県尾道市に建つテナントビル最上階をリノベーションする計画。
尾道は海沿いの街並みを連想するが、敷地は市内の内陸側に位置する。またビルとしての用途でありながら最上階は建築当初から住宅として計画され、そこを新しい住まい手のライフスタイルに合わせて改修した。ビルは敷地形状に合わせた扇型の外形で、パノラマに連続する開口部が特徴的であり、その広がりを最大限享受できる空間を目指した。構成としては
・玄関、LDK、インナーテラスを扇型の開口部に沿うように並べてひとつながりの空間をつくり、寝室などの個室はもう一方の窓際に配置する。
・天井は扇型に沿って梁型を連続させることで奥行きと陰影をつくる。
・開口部は居室の広さに対して大きく感じられるため、窓の手前に垂れ壁をつくり開口量を調整し、合わせて腰壁までの収納を連続させる。
・垂れ壁はブラインドが収納され、日照と外からの視線を調整する。
以上の所作により、開放性、連続性、日照調整を満たした空間をつくり出した。さらに、これまでの住宅改修でも実践してきたが、建具上の欄間をガラスとすることで居室間の天井を連続させ、間仕切壁も合わせて天井面をガラスとすることによって、仕切りながら繋がる状態をつくりだした。浴室は手前のインナーテラス越しに守られながら山並の景色を楽しむことができる。寝室は腰壁から上をガラスとすることによりリビングとその先の山並みまで視線を繋げている。
建築の形状を最大限活用して空間の奥行きをつくり周辺環境まで連続していく状態が、この豊かな広がりに繋がっているのではと考えている。
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