PHASE DANCE

静岡県伊東市, 日本
Video © Masaomi Sakaguchi, Takeshi Hirobe
写真 © Koichi Torimura
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建築家
廣部剛司建築研究所
場所
静岡県伊東市, 日本
2019

計画地は鬱蒼とした樹木に覆われた傾斜地であった。別荘地として1970年頃に開発されたものの、今まで一度も建築行為のなされることがなかった区画であった。何度か敷地を訪れるうちに一本のヒメシャラの大樹が持つ存在感に惹かれ、伐採せずに共存する方法を模索し始めた。地区協定で決められている壁面後退などから逆算すると、その樹木は建築可能エリアのほぼ中央付近に位置していた。そのため、樹木に対して少し遠慮しながら共存するために、建築で取り囲むようプランニングを進めていった。
 一本の樹木を中心点として、求心的に考えているが、ここではあえて角度を揃えてシンメトリカルにしようとはしていない。基本的に少人数で滞在されることが多いということも設計条件のひとつであったため、角度を連続的に操作することによって、それぞれの場に居心地が良いと感じられるスケール感を与えていくことを考えた。
岬の突端のような段差の傾斜地に、建築をどのように載せるのかということは構造上の懸案事項であった。ここでは、基礎が深く大きくなりすぎないために、平面の3分の1ほどをオーバーハングさせることで接地面積を減らしている。基本構成としては、基礎から2階の床までをRCとして、その上に木造架構を載せている。図書スペースとしての使用を主眼に構想された上階では、先に説明した平面形を引き継ぎながら、三角形構面の頂点を変形させることで、屋根形状を連続的に構成している。中央近くがピークとなっており、絞り込んだ両端部分は、中2階や吹抜を介して1階の領域と連続的に繋がっていく。それは全体を「ひとつの屋根」として自律的に感じさせる効果をもたらしている。

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