PRISM Inn Ogu

東京都荒川区, 日本
写真 © Masao Nishikawa
写真 © Masao Nishikawa
写真 © Masao Nishikawa
写真 © Masao Nishikawa
写真 © Masao Nishikawa
写真 © Masao Nishikawa
写真 © Masao Nishikawa
写真 © Masao Nishikawa
写真 © Masao Nishikawa
写真 © Masao Nishikawa
写真 © Hiroyuki Ito Architects
建築家
伊藤博之建築設計事務所
場所
東京都荒川区, 日本
2022

都心には家族やグループ等、多人数が1部屋で宿泊できる施設が少ないことから、ここでは最大9名の宿泊に対応できる客室を、ロフト付きで計画することとした。多人数でも居心地よく過ごせて、少人数で泊まれば豊かさが感じられるような部屋を目指した。
塔状比(縦横比)の高い、いわゆるペンシルビルでは一般に、部屋のスケールに対して構造体が大きくなりすぎるのが問題であるが、むしろ大きな躯体を生かした魅力的な空間にしたいと考えた。 できるだけ多くの居心地よい場所をつくれるよう、横連窓を3方に設けた。腰壁高さを変えることで、家具配置と連動しつつ、内部と周囲の状況を調停し、結果的に別の部屋にも泊まりたくなるようなバリエーションを作れたらと考えた。 各階に庇を設けることで、雨天でも換気がしやすく空調負荷を抑えられるだけでなく、雨水が外壁を伝わないようにすることで外壁の耐久性の向上を図っている。

梁の交点に柱を置かない千鳥の柱配置によって、ベッドスペースを緩く仕切りながら流動性の高い空間が実現できた。ロフト床を支える鉄筋コンクリートの貫は、風車状に配置されているが、その向きを上下階で反転することでバランスよく建物全体の剛性を高められている。ロフトレベルでは貫の高さは手摺や腰掛、テーブルとして利用できる。 扁平柱に貫が架かることで高さ方向は分割される一方で、水平方向は柱2本をまたぐ大きなスケールを獲得する。構造体が身体と対応したり、逆にそれを超越したりするさまざまな寸法を持つことで、その周囲や上下に人が寄り添う場を生みつつ、同時に自律的でもあり続ける。ベッドの配置など固有の目的に応えながら、最終的には別の用途にも使い得るし,使いたくなる状況、すなわち人が側に居たくなる躯体を目指した。

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