大分銀行赤レンガ館 空間再生
大分県大分市, 日本
- 建築家
- DABURA.m
- 場所
- 大分県大分市, 日本
- 年
- 2017
「辰野建築」を「クリエイティブハブ」へ
「大分銀行赤レンガ館」は近代日本建築史における重要な文化財であると同時に、近代大分の歴史を証する貴重な建築物である。これまで多くの努力が払われて保存活用がなされて来ており、それは大分市民の誇りとして受け継がれてきた。今回クライアントの大分銀行は、登録有形文化財であり、自社資産であるこの建築を、地域資源と地域のクリエイティブ活動をかけ合わせて、イノベーションを起こすクリエイティブハブとして活用されることを望み、弊社は依頼を受けてリノベーションの設計に取り組んだ。歴史的建築物であるこの建築を再生活用するにあたり、大分市民の誇りをさらに未来へつなげられるよう、これまで積み重ねてきた歴史を内部においても体感することができ、なおかつ現代性と親しみを感じるような空間作りを目指して設計に取り組んだ。
歴史に触れた感覚を生み出す空間づくり
現在の「大分銀行赤レンガ館]は、大分中心市街地にて、歴史的文化財としての正当性を備えた外観によってその存在感を示し、象徴的存在となっているが、内部はこれまで各時代に要求される機能に沿って作られ、歴史性を感じられるものではなかった。この度のリノベーションでは、来訪者が入館した瞬間に、この建築物が積み重ねてきた時間を肌で感じられるような空間設計を目指している。具体的には、まず本来の空間の大きさを体感できるように、天井をできるだけ撤去して、戦後の改修でつくられた天井の化粧梁を露出させた。また、中央通り側のレンガ造壁面は、レンガを覆っていたボード、軽鉄、しっくいモルタルなどを取り去り、本来の構造体としてのレンガの表面がありのままに見えるように露出させ、大正2年建設当時のレンガ壁が見えるようにした。戦後の改修時のRC構造体も露出させている。床面は、レンガ壁や空間を引き立て、空間の質を高め、現代性を感じられる素材としている。全体としては「引き算の発想」でデザインすることとし、極力あらたなものは付加せずありのままの空間を感じられるよう考えた。
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