真光寺本堂

愛知, 日本
写真 © Toshiyuki Yano
写真 © Toshiyuki Yano
写真 © Toshiyuki Yano
写真 © Toshiyuki Yano
写真 © Toshiyuki Yano
建築家
センブンノイチ(1/千)
場所
愛知, 日本
2014


空と街をつなぐ寺院本堂の計画。


場所は名古屋市南区、ここは市内でも旧市街地に位置し商店街の面影を残す地域である。


設計を進めるにあたり寺院の慣習を維持しながらも、人々が集うことのできる多目的な空間をもち、まちの公共空間となるような寺院建築を求めた。


 


この建築は次の操作により組立られる。まずは建物の構造となる2本の柱を山門に見立てる。そこに高さ3.6mの大梁を斜めに繋ぎ、建物を東西に分断することで、視覚的な体験としての参道をつくる。


次いで1階には西の方角を拝殿するように本尊を配置し、2階には多目的に使用することが出来る壇信徒会館を設けて積層させる。そこに5mの張り出しをもつ片流れの薄い大屋根が覆うことで寺院建築としてのシンボル性を獲得する。


最後に仏、法、僧の三宝になぞらえた3つのトップライトで空間を縦に穿つことで、拝殿する本尊上部から光が降りそそぎ、明るく親しみやすい雰囲気を漂わせている。


また壇信徒会館からも本尊上部に降りそそぐ光が感じられるような仕掛けにもなっている。


山門からは明、暗、明の光のグラデーションをつくりながら空へと続く参道が実現し、室内においては上下に移動するシークエンスの中で、空と街とをつなぎ、豊かな光の体験を促している。


 


寺院建築の歴史を紐解いてみると、そこには建築技術の発展とシンボル性をもつ屋根の獲得があったと見受けられる。防火基準が厳しい市街地のコンパクトな敷地において、人々が集う空間を併せ持つためには、積層させ機能を複合化しRC造でつくること。その上で歴史に習うように構造的な試みが行われ、大屋根が人々を優しく迎い入れるような空間が実現した。

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