Video © SAKO Architects
写真 © Tetsuya Yashiro
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久留米モノリス

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2015
チーム
Principal Architect: Keiichiro Sako
Architectural Design
SAKO Architects
Interior Design
SAKO Architects
Landscape
SAKO Architects
Lighting Design
BONBORI Lighting Architect & Associates, Inc.

久留米駅から徒歩6分、市街地に立地する住宅型有料老人ホームである。一般的に老人ホームは、土地費用の削減や静かな環境を確保するために郊外に建てられることが多いが、この施設は市街地にあることにより、交通機関や医療機関への優れたアクセスを強みとしている。また、家族が気軽に訪問できる利便性があり、地域との結びつきを重視したデザインを目指した。

建物は敷地の南側にコンパクトに配置し、一方通行によるスムーズな車両動線を確保している。地域住民が利用するデイケアサービスの送迎を想定し、11m×6mの大きなキャノピーを設置。雨天時でも車からの乗り降りを快適に行うことが可能である。容積率をすべて消化せずに残した敷地には、十分な駐車スペースと地域に開かれた庭園を整備した。L字型の敷地は周囲に開かれており、自由に通り抜けることが可能である。

居住者が室内に閉じこもらず、外の空気、光、音に触れることで、時間の移ろいと地域とのつながりを感じられるよう工夫した。庭園には1.6m四方から4.6m四方までの大小36の正方形が散りばめられ、それらはデッキ、芝生、花壇、ベンチ、水景、東屋などで構成されている。それらを縫うように散策することで、四季折々の変化を楽しむことができる。

立方体の東屋には多数の開口が穿たれており、差し込む光が創り出す陰影の美しいコントラストが訪れる人々を魅了する。この場所は、憩いの場であると同時に、五感を豊かに刺激する空間でもある。

外装はRC打ち放し仕上げとし、その堅牢な外観が地震などの災害に対する安心感を提供する。一方、コンクリートの冷たさを緩和するために、特注の型枠による立体的なテクスチャーを施している。ファサードに刻まれた細かなストライプ状の突起が、常に陰影を生み出す。平滑なコンクリートに比べて汚れが目立ちにくくなるため、メンテナンスコストの削減にもつながる。また、ひび割れの発生を抑えるためにフライアッシュコンクリートも採用した。

内装は白と茶を基調とし、落ち着きと親しみやすさを感じられる空間に仕上げている。エントランスホールでは、外装のストライプパターンを木材で再現し、全体のデザインに統一感を持たせている。一般的に老人ホームでは、清掃管理の面からビニール素材が多用されるが、ここでは手すりや取手に木材を使用し、居住者が自然素材に触れる機会を大切にしている。

「自分の親でも安心して預けたいと思える老人ホーム」という当初の目標は達成できたと感じている。

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