軽井沢深山の家
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- 長野県, Japan
- Jaar
- 2010
旧軽井沢を見下ろす別荘地の、東向き斜面に計画された住宅。9.9m×9.9m の正方形平面による、極めてプライマリーな立方体ボリュームによって計画されています。
この建築は、リビング / ダイニングを中心とした「開かれた内部」と、その他の空間の「閉じられた内部」によって計画されています。
「開かれた内部」とはいわば立方体から「くり抜かれた」部分で、建築という「閉じた空間」の中において「開かれた場所」になります。
一方「閉じられた内部」とは、機能的には私室やサニタリー、書斎などであり、それらの空間はリビング / ダイニングからは見えません。そこに行くには二つ用意された階段から上がり、リビング / ダイニングを取囲む壁の中に「入っていく」必要があります。
つまりこの建築の計画意図とは、「開かれた場所」と「閉じられた場所」を意識的に横断させていくことにあります。
建築空間とはただの「外」と「内」だけに留まらないと考えています。いまや建築は、壁に見えない薄さの壁やガラスによって、シャボン玉の膜にも似た儚い空間を指す言葉となりました。「透明な壁」「不鮮明な透明性」だけが建築の可能性なのでしょうか。建築ではもう、遠くに見る「越せない山」や「泳ぎきれない川」のように、他に空間を分ける手だては無いのでしょうか。
私は、もっと建築という塊 ( かたまり ) 自身が境界を規定していくような、そんな少々暴力的な空間を現出させてみたいと思っています。
そう思うときにいつも私がイメージするのは、ひとつの大理石の塊がノミによって切り込まれるだけで「空間」と化す、エドゥアルド・チリーダの彫刻なのです。