Gentō

北海道倶知安町, Japan
Photo © Aaron Jamieson

Gentō(玄冬)は、オーストラリア人家族がニセコに所有する別荘の離れとして計画された。
雄大な羊蹄山を望む本館に対し、離れは周囲環境に親密な解放感を持たせた。屋根は自然に落雪する4寸勾配程の方形屋根形状とし、背景の羊蹄山の傾斜と重ねた。

四周バルコニーとなる床は地盤から1m程の高床とし、屋根からの落雪が流れ込むことを防いでいる。軒先を床から高さ2m程とし、建物高さ抑え、建物の重心を低くし、背景にある景色を尊重した。また、視界を軒先によって低く切り取ることで、手前の環境に視線がいくように計画した。

この建物にはコンクリートのキャノピーが付属している。その中にはグレーチングの床が張り出し、浮遊感を演出。傾斜に対しフラットに設置された床は、徐々に地面から離れ、バルコニーへの着地を可能とする。これにより建物周囲の雪を除雪せずにアクセスが可能。雪国の自然と建築とが映し出す原風景を極力残し、雪の積もる壁の先をトンネルを行くような体験を演出している。

着地する場所は屋外テラスとなり、暖炉が迎える。キャノピーの隔てる壁はテラスを囲い、屋外に程よい“間”を作る。屋根は建物内部にやわらかな影を落とし、屋根に積もった雪が大地の中に浮いているような姿となる。また四周雪の壁となり、内部は静寂さがます。

内部は耐力壁が平面を斜めに二分する。森に面した北側には、ジム・浴室・和室とプライベートな機能を、隣家と道路に面する南側には書斎とテラスを計画。部分的に設置された外壁面のメタルメッシュが視界に柔らかなフィルターをかけ、外部との距離感を滲ませる。斜めの壁は奥の既存の建物を視界から外し、プライベート性を高め、同時にジムとヨガの部屋の必要面積の割り振りも施主の要望に応えている。

耐力壁は内外を通して緩やかに曲げた黒皮スチールのパネルで仕上げ、直線的な空間にリズムを与えると同時に、構造壁という存在をひそませ、軽やかに傘が空間全体にかぶさっているかのような効果を与えた。また、スチールの曲面は外部の光や景色を反射し、内部空間をほんのりと色づける。水平力に対しては斜めの壁と浴室とを仕切る耐力壁だけで対応させ、四周に壁を必要としない計算とした。よって外周部には垂直荷重を受ける鉄柱のみとし、全面開放を可能した。

この建物は壁と壁が突き合わさる入隅部分がなく、内部も開放的で各機能を分断する壁はない。それぞれの場所が隔たりなく一つの大きな空間が屋根の下で繋がっている。自然環境を纏い、内外との隔たりを感じさせない、周囲との調和を図った計画となった。

Photo © Ikuya Sasaki
Photo © Ikuya Sasaki
Photo © Ikuya Sasaki
Photo © Ikuya Sasaki
Photo © Ikuya Sasaki
Photo © Ikuya Sasaki
Photo © Ikuya Sasaki
Photo © Ikuya Sasaki
Photo © Ikuya Sasaki
Arquitectos
SAAD - sudo associates, architecture and design
Localização
北海道倶知安町, Japan
Ano
2022

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