GRID

大阪府豊中市, Japan
Photo © OTAKE Yosuke

“状態としてのワンルームマンション”
12戸の小さく、そして最低限の設備で構成されたワンルームマンションである。投資物件として最大限の土地活用をしたいということで、道路斜線や高度斜線から導かれる最大限のボリュームは、豊中市のワンルームマンション条例(住戸専用面積20㎡以上、駐車場併設等)への適合と許容容積率から割り出された300㎡程度の床面積確保のために、20㎡のワンルームの住戸群と必要最低限の共用部で埋め尽くされることとなった。だがそれは竣工時の姿であり、建物のライフサイクルの中での一つの状態である。計画地は施主の祖父母から遺された思い出と愛着のある土地で、いつかはここに戻ってきたいという思いを持っていた。その思いを汲み取り、50年後100年後までのタイムラインを含めた時間の幅を持った計画としたいと考えた。

“未来を見据えたストラクチャ”
構造は350角のRCラーメン構造の柱梁に木の壁・床・屋根を嵌め込んだ1時間準耐火構造(木三共)の混構造建物とした。外壁は耐風圧をコンクリートの柱梁に依ることで下地を45mm角の杉材下地で構成し、内部天井は燃え代設計のために決められたやや大ぶりな木小梁と準耐火構造のために2重に貼られた12.5mmの石膏ボードをあらわした。固いRCと柔らかな木架構の組み合わせによって、40㎡の1LDKにしたり、床を解体して80㎡のメゾネット住戸にしたりと、平面だけでなく立体的にも将来の変化に柔軟に対応するための余白を潜在的に内包し、静かに未来の状態変化を待っているような「状況の中の建築」を目指した。

“過去/現在と親しい佇まい”
敷地は箕面有馬電気軌道(阪急電鉄)の創業者小林一三が沿線開発の一つとして手掛けた豊中住宅地の一角に建つ。外壁や塀に木材を用いたり宅地内に植物を多く取り入れたりしている住民の息を感じることのできるヒューマンスケールを持つ街並みとできるだけ馴染むような佇まいとなることを期待した。スタティックになりがちなRCラーメン構造は、駐車場確保のためのピロティ柱の間引きや、共用部の効率化のために東西でずらしたスキップフロア、木三共成立のために直接外気に開放させた階段室などの計画的法規的対応をポジティブに取り込むことで軽さやスケールを、外壁は焼杉を採用したり植栽は地域在来植物と特色のある園芸種をミックスしたりすることで、風景の連続性を持たせたいと考えた。

Photo © OTAKE Yosuke
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Arquitectos
ihrmk
Localização
大阪府豊中市, Japan
Ano
2022

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