Photo © Nobuyoshi Yamada
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弧柳

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Lieu
大阪府大阪市, Japon
Année
2021

素材が対話する「余韻の空間」

大阪の歓楽街である北新地で、12年間にわたり浪速割烹を継承しつつ新しい食文化を創り上げてきた日本料理店「弧柳」。その弧柳が新たな場所として選んだのは、歓楽街北新地から少し離れた東横堀川沿いの大阪らしさの残る立地でした。
ここに、地上2階・地下1階からなる風趣を凝らした店舗を建てたいというのがクライアントの要望でした。そこで、「基礎を大切にしながらも新しい発想を取り入れる」というクライアントの料理への哲学を継承し、ベーシックでありながらも、新鮮な感動が湧き上がる余韻の空間を目指しました。

敷地の奥行を利用した8mのアプローチには入口に緊張感を漂わせるオブジェを配し、その突き当りに静謐なつくばいを据えることで、客人が席入りする前に身を清める儀式を演出。ゆっくりと日常から非日常へと気持ちを切り替えたのちに、1Fのカウンター席へと続きます。
1階のカウンター席は一面に大きな窓を設け、前面に広がる川と一体感のある空間としました。中央はアサメラとヒノキの二種の無垢材で設えたカウンター席を配置し、この店の主人と料理が織りなすエンターテイメントを象徴的に演出するように光を構成しました。また、そのエンターテイメントのクオリティーの高さに共鳴するように、各部のディテールにもベーシックと革新が息づくことを目指しました。
2階は2室の個室を設け、それぞれの個室には窓際に庭園空間を設けて外と緩やかにつながるプライベートな空間を演出しました。所々にアーティストとのコラボレーションによるディスプレイを据え、設えに用いた無垢の木材や槌目銅、鉄、網代、竹など本物の素材との静かな対話を余韻として味わえる空間を目指しました。

これからの長い時間の中でも色褪せない余韻の空間で、弧柳第二章の新しい歴史を作り上げていってほしいと願っています。

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